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こころと身体の不安を解消し安心して通える歯科医院を目指す

    
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こころと身体の不安を解消し安心して通える歯科医院を目指す

岡山県倉敷市連島町鶴新田1886番地1 はすのは歯科

院長 丸濵功太郎先生/副院長 美菜子先生

不安や困りごととその解決策から導き出した医院のコンセプト

 8月になると、はすの白い花があちらこちらで咲き、夏の風物詩となっている倉敷市連島町。道の両側一面にはすが植えられている景色に感動し、2019年7月それを冠した「はすのは歯科」を同町に開院したのは丸濵功太郎先生・美菜子先生だ。

 実は連島町は奥様で副院長の美菜子先生の出身地。開業する前はお二人とも母校の岡山大学病院に勤務していた。功太郎先生は顎関節症の治療を主に担当していたが、顎関節の痛み外来も受け持っていた。一方、美菜子先生は歯科麻酔が専門。そうした背景をもつお二人が開業にあたって、「痛み」や「怖さ」を感じることなく、安心して通える歯科医院にしたいと考えたのは自然なことだった。

 「大学病院時代、歯科の治療は痛い、怖いと我慢しつづけて、どうしようもなくなって受診する患者さんが多くいました。歯科治療=痛い・怖いというイメージがなくなれば、もっと早く受診してくれるのではないか。そうすれば歯周病などが重症化する前に治療ができます。それは患者さんにとって大きなメリットです」。

 では、具体的にどのようにすれば安心して通える歯科医院になるのだろうか。功太郎先生と美菜子先生は、「痛み」や「怖さ」を「不安」という言葉に集約した。そして、年齢層を含めさまざまな人が歯科医院に対して感じる不安や困りごとを一覧にしてみた。「赤ちゃんを連れたお母さんが授乳しなければいけなくなったら?」「小さいお子さんが診療室で泣いたら?」「車いすの高齢者が来やすくするためには?」「平日忙しい人はいつ受診すればいい?」「オストメイトの人もいるのでは?」……。

 これら一つひとつの解決策を一覧に書き加えていくと、自分たちがつくろうとしている歯科医院の姿が鮮明になってきた。「不安を安心に変える歯科医院」というコンセプトが決まった。

多目的トイレや授乳室、親子診療室などの整備で安心できる院内レイアウト

 はすのは歯科には、至るところに「不安を安心に変える」工夫がなされている。

 建物入口へのアプローチは車いすの患者が困らないように、階段とともにスロープを設置。院内は完全バリアフリーになっている。診療室内の通路も、車いすが楽に通れるように余裕をもった幅が確保されている。トイレはオストメイトも対応できる多目的タイプで、赤ちゃん連れの保護者のためにおむつ替えスペースも設けられている。授乳室も用意され、周りの目を気にすることなく授乳ができる配慮も嬉しい。

▲車椅子患者用駐車スペース・スロープ
▲右手前:車椅子の方でも使いやすい特注の洗面台/右奥:授乳スペース

 初めての歯科受診は大人でさえ緊張し不安に思うものだ。幼い子どもであればなおさらだろう。はすのは歯科では、6室並ぶ一般診療室の奥のスペースを広めにとって親子診療室にし、ユニットのそばにベッドやマットを配置して、おもちゃを置いた。これなら保護者が治療中も子どもはそばにいられるので、親子ともに安心だ。また、1歳半健診や3歳児健診は、保護者がそのベッドに座り、子どもをひざに乗せた状態で行う。成長するとともに子どもはベッドで横になり、そしてやがて自らユニットに座るという自発的な行動変容を促したいという意図もある。

 「大人が歯科医院は怖いというイメージのほとんどは、子どものときの体験から来ています。ならば、子どもに歯医者さんは怖いというイメージを植え付けないようにすればいい。そのためには子どもが安心できる環境づくりとともに、むし歯をつくらないように、保護者教育も大事です」と功太郎先生は話す。

 同医院では保護者に、幼少期のむし歯を防ぐには親の仕上げ磨きが必要なことや、むし歯になりにくいおやつなどについて丁寧に説明。さらには、保護者の記入欄もあるデンタルノートに毎回口腔内の状態をわかりやすく記載して渡している。子どもの成長記録にもなると、デンタルノートは保護者に大好評という。

▲口腔状態についての記録や保護者とのコミュニケーションに用いるデンタルノート

画像データを活用した「治療内容の見える化」を推進

 歯科への恐怖が強い人や嘔吐反射のある人などには、静脈内鎮静法を用いているのも同医院の特徴だ。

 歯科医院特有の「キーン」という器械音や周囲の音が気になる人には、音楽を聴けるヘッドフォンを用意。患者さん自身のスマートフォンにも連動しており、お気に入りの音楽を楽しみながら治療を受けることができる。

 功太郎先生は言う。「不安には大きく2つあります。一つは身体的な痛みのような不安、もう一つは精神的な不安です」。例えば、ユニットの上で患者さんたちは「これから何をされるのだろう」「どんな治療をしているのだろう」と緊張するのがまさに精神的不安だ。

 それを和らげるために十分な時間をかけてカウンセリングを行うとともに、CT・デジタルレントゲンや口腔内カメラなどを利用した“治療内容の見える化”にも努めている。

 「言葉の説明だけではイメージがわきづらいものですが、写真なら今自分の口腔内がどういう状況になっているかが一目でわかります。納得して治療を受けられますし、データを保存することで治っていくプロセスも追うことができます。また、私たち治療をする側の大変さへの理解にもつながりやすい。それらにより、歯科医院に来ればなんとかしてくれるという他人任せの姿勢から、歯の健康を守るのは自分自身だという意識へ変わっていくと考えています」。

 子どもの行動変容や大人の意識変化を重視していることについて功太郎先生はこう説明する。「さまざまな病気に予防法がありますが、むし歯や歯周病ほど予防効果が証明されているものはありません。今や12歳児DMF指数は0.63本と1本を切っていますし、8020運動の推進で、80歳で20本以上の歯が残っている人の割合は50%を超えています。これらの結果は、幼いときから正しい口腔ケアをしつづければ、生涯、健康な歯を保つことが可能であることを私たちに教えています」。

ユーザーの声に応えるオサダのものづくりへの姿勢に共鳴

 静脈内鎮静法やインプラントなどの外科手術は親子診療室と廊下を挟んだ反対側の特別診療室で行われる。一般診療室は半個室だが、ここは完全個室になっている。ユニットの前の壁には、少しでも痛みを緩和する手助けにしたいと大画面のテレビが掛けられている。また、心電図付きの集中管理モニターも配置されている。

 この特別診療室用に導入されているユニットはオサダオパルコンフォート(以下、オパル)だ。功太郎先生と美菜子先生はオパルとの出合いを機に、すっかりオサダファンになった。

 いろいろなメーカーのユニットを見たものの今一つ決めかねていたお二人は学会参加のために上京。その会場に展示されていたのがオパルだった。興味を持った功太郎先生は改めてオサダのショールームを訪問。担当者から、側面や後方からでも乗り降りができるようチェアが180°回転することや、ステッキホルダーがついていて3段階に調整できる手すりが付いていることなどオパルの特徴の説明を受けた。実際シートに座ってクッション性の高いことも確認した。「これなら車いすの患者さんにも、静脈内鎮静法を用いた長時間に及ぶ診療を受ける患者さんにも負担が少なくてすむ」と思いつつも、お二人には一つひっかかることがあった。「院内完全バリアフリーにしようとしている私たちとしては、ステップがあるのがどうしても気になります」。すると担当者からこんな返事が返ってきた。「そういうユーザーの声があったので、ステップを開閉できる仕様にしました」。

 功太郎先生はそのときのことを今でも鮮明に覚えている。「困っている人を何とかしたいというものづくりへの真摯な思いが体現されている!と感動しました。オサダさんのものづくりへの姿勢は、私たちが目指す方向と全く一緒。これほど当医院にピッタリのユニットはありません」。

地面の下の蓮根の成長を助けるはすの葉のようになりたい

 同医院は土曜日の午後も診療。仕事の関係上、平日の受診が難しい人のニーズに応えるためだ。また、スタッフがしっかり休養できるようにと、日曜日と月曜日を休診にした。

 スタッフとは年4、5回面談をしてコミュニケーションを図っている。「認定歯科衛生士や食育アドバイザーなどキャリアップしたいときは医院を挙げてバックアップします。そこでの学びを患者さんや他のスタッフに還元していけば、当医院のみならず地域全体の健康増進につながります」。スタッフ教育にも力を入れ、スタッフが定着しやすい環境を整えている。

 最近、はすのは歯科に、とても嬉しいことがあった。歯科への強い恐怖から歯科を受診できず多くのむし歯で悩んでいた方が、同医院のホームページを見て受診。その患者が口コミにこう書いていたからだ。「震えながら診察台に乗った私に、スタッフはやさしく説明してくれました。治療も、私のペースに合わせてゆっくりでした。パニック発作が起きて泣き出したときは、私の気をそらすために世間話をしながら落ちつくまで待ってくれました。治療が終わるたびに『頑張りましたね』と褒めてくれました。麻酔で痛みもなく治療を受けられました」。

 はすのは歯科という名前には、地面の下の蓮根の成長を助けるはすの葉のように、地域になくてはならない歯科医院にしたいという功太郎先生と美菜子先生の思いも込められている。開業して4年。その思いは今や地域に深く根付きはじめている。

【はすのは歯科 医院レイアウト】

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