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患者さんへの深い思いが院内の温かい心地よさをつくりだす

    
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患者さんへの深い思いが院内の温かい心地よさをつくりだす

愛知県名古屋市中村区名駅4-26-25 メイフィス名駅ビル3階 清水歯科

清水雅雪 院長 清水崇雪 副院長

15年間歯周病治療における世界的権威リンデ教授のもとに通う

 1975年に発行された「ZOOM UP」No.11に、優しい笑顔が印象的な若い歯科医師の写真が載っている。清水歯科の清水雅雪院長だ。当時、開業して2年。医院は名古屋駅の前にそびえるビルの2階にあった。

 雅雪院長は誌面で、「対話を通して患者さんと心のつながりを持ち、患者さん本位の温かな医院にしたい」と述べている。この思いは開業後50年経った今も全く変わっていない。

 その頃の歯科医療は、対症療法を中心としたう蝕などの治療が主だった。しかし、対症療法でそのときはよくなっても再び歯周組織が破壊される。患者さんも、歯科医院は歯が痛くなったら行くところ、何もなければ受診しないとの認識だった。雅雪院長はそうした歯科医療の在り方に疑問を持ち始めていた。悪いところを治療するだけが歯科医療なのだろうか。患者さんが病気にならずにいつまでも健康な歯を維持できるようにすることが歯科医療の最終的な目標ではないのか──。

▲「ZOOM UP」No.11に掲載されている清水雅雪 院長(1975年発行)

 そうしたとき、岡本浩先生たちからスウェーデンのイエテボリ大学リンデ教授の講習を受けないかとの誘いを受けた。

 岡本浩先生は1973年から4年間スウェーデンのイエテボリ大学歯学部歯周病科で近代歯周治療を学び、スウェーデンスタイルの歯周病学を日本に紹介した近代歯周病学のパイオニアだ。その岡本先生が薦めるリンデ教授は歯周病学における世界的権威である。

「リンデ先生は、『悪いところを治療したらそれで終わり。そして、痛くなったら歯医者に行くというのが20世紀の歯科治療。しかし、21世紀の歯科医療は予防とメンテナンスをして自分の歯を長く維持できるようにすること』とおっしゃっていました。私がやりたかった歯科医療は“これだ!”と思いました」

 1980年から15年間、雅雪院長はリンデ教授のもとに何度も通い、近代歯周病治療の学びを深めていった。

患者さんが参加しての歯周病治療

 雅雪院長は言う。「徹底したプラークコントロールと、ブラッシングによる口腔内清掃で歯周病の75%は治ります。あとはメンテナンス、つまり予防をしっかり行えば歯が失われる可能性は極めて低くなります」。

 こうした治療を行うには、歯科医師や歯科衛生士だけの力では不可能だ。患者さん自身がブラッシングの大切さを知り、実行し続けることが必須となる。

 「私は初診時に1時間ほどかけて患者さんとじっくり話をします。そのとき絶対に『治してあげます』とは言いません。代わりに『私や歯科衛生士はあなたの歯を守る最大限の協力をします』と伝えます」

 患者さんとの話は、例えばこんな具合に進む。「歯周病はどんな病気でしょうか」と患者さんに質問する。正しく答えられる患者さんは意外に少ない。そこで、雅雪院長は歯周病についてわかりやすく説明する。次に、「このまま放置したらどうなると思いますか」と聞く。多くの患者さんは、その答えを聞いてビックリするという。さらに、「これを避けるためにどんな治療が必要か」「それにはどれくらいの期間がかかるのか」といった話をしていく。

 「ご自身が治療に参加する重要性を理解した患者さんはその日からブラッシングを始めるので、次の来院時には口の中がかなり清潔になっています。こうした患者さんは、治療が成功したようなもの。安心できます。一方、理解が不十分な患者さんには歯科衛生士によるブラッシング指導を通して、ブラッシングの大切さをわかってもらうようにしています」。こうした雅雪院長の熱心な取り組みにより、35年以上定期的にメンテナンスに通い続けている患者さんもいる。また、かつてはメンテナンスを受けるのは女性の患者さんが多かったが、歯周病が糖尿病や心疾患など全身疾患に関係していることが広く知られるようになり、最近では男性の患者さんも増えてきた。「とても喜ばしいこと」と雅雪院長は笑顔を浮かべる。

医院移転を機に崇雪副院長が帰郷し、訪問歯科診療を開始

 清水歯科が入っていた建物は老朽化が進み、取り壊しとなった。ちょうど道を挟んだ反対側に新しいビルができることになり、2008年清水歯科はそちらに移転した。

 それと同時に、心強い歯科医師が加わった。息子の崇雪副院長だ。

 崇雪副院長は幼い頃から父と同じ歯科医師になることを目指し、東京歯科大学に進学。同大学病院補綴科で義歯の治療を専門として高齢者を中心に診療を行っていた。そのとき、非常勤で勤務していた千葉県のクリニックが訪問歯科診療をしていたことから、訪問歯科診療にも関わるようになった。

 「今でこそ訪問歯科診療は珍しくありませんが、その当時は取り組む歯科医院はほとんどありませんでした。患者さんたちも家に居ながらにして歯科治療を受けられることをほとんどご存じではありませんでした。私たちが訪問し、義歯を調整するなどしてそれまで食べられなかったものが食べられるようになったりすると、とても喜ばれるのです。それが私の大きなやりがいとなりました」

 帰郷した崇雪副院長は訪問歯科診療を担当。これまで清水歯科に来院していた患者さんが高齢になり、来院が難しくなると今度は崇雪副院長が訪問歯科診療で引き続き診るといった流れもできた。

 訪問歯科診療に懸命に取り組む崇雪副院長を見て、雅雪院長は「訪問歯科診療では、ベッドに寝たきりの患者さんを診ることもあれば、いつ亡くなるかわからない高齢の患者さんを診ることもあるでしょう。診療室内での診療しかやってこなかった私にはさまざまな状況に対応しなければならない訪問歯科診療はできません。息子は誰にでも優しい。だから多くの患者さんから慕われています。そんな息子を誇りに思います」と話す。

 崇雪副院長も「患者さんの歯を守るためにスウェーデンに通い続けた父は凄いと思います」と語る。

 親子が互いの仕事を認め、尊敬し合う姿はとても清々しい。

完全個室は歯科衛生士、半個室は雅雪院長が使用

 移転前の診療所は6つの完全個室で構成されていた。現診療所は旧診療所と同じ面積だが、ゆったりと診療できるようにと2つの完全個室と2つの半個室にした。完全個室は歯科衛生士が、半個室は雅雪院長が使っている。

 入り口には大きなガラスドアがあり、中の様子が見えるようになっている。正面には受付があり、その横に診療エリアにつながるドアがある。これもガラス製で、「Shimizu Dental Clinic」という文字がオシャレに施され、どんな診療をしてくれるのかと否応なしに期待感が高まる。診療室につながる廊下には、雅雪院長がリンデ教授の研修を受けたときの写真や認定証が整然と飾られ、思わず見入ってしまう。観葉植物が置かれた個室は白を基調にした落ち着いたスペースで、壁にかけられた2つの絵が緊張した患者さんの心を和らげてくれる。一方、茶色の台に置かれたパーテーションで区切られた2つの半個室では、ユニットがガラス窓に向かって設置され、都会の街並みを眺めながら診療を受けることができる。

▲入り口
▲受付 横には診療エリアにつながるドアが
▲研修時の写真や認定証がずらりと並ぶ

 完全個室、半個室ともに置かれているユニットはオサダのスマイリーだ。「開業時からユニットはずっとオサダです。オサダの良さは何といってもメンテナンス対応が良いこと。車も同じで売りっぱなしではダメ。メンテナンスをきちっとしてくれるところに大きな信頼を寄せています」と雅雪院長。

▲完全個室
▲半個室

 崇雪副院長が訪問歯科診療で使っているのもオサダのポータブルユニット デイジーだ。「千葉のクリニックで訪問歯科診療をしていたときもオサダのデイジーでした。使い慣れたものがよいのでこちらに戻ったときもデイジー一択。コンパクトで場所を取らないのがいいですね。」(崇雪副院長)。

スタッフ全員が情熱をもって患者さんの歯を守る

 雅雪院長は強調する。「医療人として最も必要なのは患者さんを思いやる気持ちです。私もスタッフも患者さんの歯を絶対に守るという情熱をもって患者さんに対応しています。その気持ちで診療し続ける限り、時代がどんなに変化しても、患者さんは来院し続けてくださると確信しています」。

 この雅雪院長の言葉に頷きながら、「私も、この患者さんが自分の親だったらどんな診療をするだろうかと常に考えながら対応しています。その思いがなくなったら、医療人として失格だと思っています」と崇雪副院長は話す。

 雅雪院長と崇雪副院長、そしてスタッフの患者さんへの深い思い。それが清水歯科の温かい雰囲気となって患者さんを優しく包み込んでくれる。これからも多くの患者さんに親しまれる歯科医院であり続けることだろう。

【清水歯科 医院レイアウト】

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