ユニットごとの特性を活かし、1人ひとりに最適な医療を届ける【前編】

沖縄県浦添市港川1-5-9 1F 医療法人愛育会 よつ葉歯科
高良正一郎先生
「どんな人も優しく迎える、ふところの深い診療室」
2016年、こんなタイトルの記事がZOOM UP143号に掲載された。2015年に開業してから間もなかった、浦添湊川学園通りグリーンデンタルクリニックよつ葉歯科(以下、よつ葉歯科)の高良正一郎先生を取材した記事だ。開業から10年が経過した今も、小児、成人、高齢者、障がい者など、どんな患者も受け入れる姿勢は変わらない。開業当初から通い続ける患者もおり、地域になくてはならない存在となっている。患者に選ばれる医院作りのヒントを得るため、再び高良先生にお話をうかがった。

臨床研修の思わぬ出会いで、外科志望から方向転換
今でこそ地域密着で幅広い診療を行っている高良先生だが、元々は外科を専門的に学ぶつもりだったという。考えが変わったきっかけは、北海道医療大学歯学部を卒業後に緑陽台歯科診療所(北海道河東郡)で臨床研修を行ったことだ。
障がい者歯科や往診に注力している診療所で、障がい者と健常者の予約時間を分けることもない。当時はまだ珍しかったバリアフリーの医院で、地域の人々を幅広く受け入れていた。
緑陽台歯科診療所で研修をする中で、外科に特化するより地域の人を分け隔てなく診察するほうが自分には向いていると感じたという。研修終了後も同診療所で働き続けるうちに、地元の沖縄県でも困っている人の受け皿となる医院を開業したい気持ちが強くなっていった。
しかしなぜ、外科への関心が高かった高良先生が緑陽台歯科診療所で臨床研修を行ったのだろうか。
「実は、自分の意思で緑陽台歯科診療所を選んだわけでないんです。臨床研修制度が導入された最初の年度で、研修先がすでに決められていました。でも流れに乗っていたら運命的な出会いがあって周りの方たちに育ててもらい、今に至っています」
よつ葉歯科誕生のきっかけは、思いがけない巡り合わせだったようだ。
スタッフたちの心づかいが、医院の価値を高める
開業を決めて沖縄県に戻り、まずは勤務医をしながら地域住民の口腔状態の把握に努めた。
そして2015年、満を持してよつ葉歯科を開業する。
もちろん、院内外はすべてバリアフリーだ。138.51㎡(約42坪)の院内には、一般的なトイレとおむつ交換台を完備したユニバーサルトイレの二種類を設置した。

「車椅子やベビーカーでも気兼ねなく来院できるように設計してもらいました。ちょうど妻が第一子を妊娠しているタイミングだったこともあり、妊婦さんや子連れのお母さんが来やすい医院にしたい気持ちがより強かったです」
歯科衛生士7名、歯科助手7名と人員に余裕を持たせている理由のひとつも、母親が治療を受けている間にスタッフが子どもの面倒を見られるようにするためだ。
高良先生はこのように、歯科医院に来られない原因をひとつでも多く解決するように努めている。OSADAのST5(STリルクスの前モデル)を導入したのも、歯科医院に苦手意識や恐怖心がある障がい者や小児に安心して治療を受けてほしいという気持ちからだ。

「患者さんが動いてしまうときは、スピットン部とワークテーブルを離して、複数人でシートの周りを囲んで患者さんを抑えて治療を進めます。器具などで固定するより人の手のほうが温かみがあって患者さんも不安を軽減できると思いますし、私もサポートしてもらえる安心感があるので治療に集中できます。他医院で治療ができなかったお子さんを治療できたケースもありました」
まるで、高良先生の心づかいを具現化したようなよつ葉歯科。その価値をさらに高めているのが、自主的に行動するスタッフたちだ。
よつ葉歯科では、カルテ以外に患者の特性などを記入するカードを用意している。「音が苦手」「触られることに敏感。顔にタオルをかけるときは慎重に」「説明をしないと不安になるから、必ず施術の前に一言声をかける」などと記入し、誰が担当しても最適な対応ができるようになっている。
これは高良先生が指示したことではなく、開業間もないころに歯科衛生士の発案で始めたという。
歯科衛生士の中に、前職や学校で障がい者歯科を専門に学んだ人はいない。しかし相手の立場で考えるマインドを持っているため、自らアイディアを出し、行動していく。
高良先生が「私が気づかないことにも気づいて丁寧に対応をしてくれるので、とても助かっています」と話すのも納得だ。
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