【オサダの名建築探訪】名古屋工場
オサダの名古屋工場をご存知ですか?
オサダで販売している製品の多くは名古屋にある自社工場で、部品の一つ一つから、ほとんどが職人の手作業で生産されています。
工場で働く職人たちの技術や、創業当時から受け継がれてきた“ものづくり”へのこだわりなど、オサダの名古屋工場を語る要素は数多くあります。
その中でも今回は、名古屋工場の“建築”に焦点を当てて、名建築としての名古屋工場に注目したいと思います。
参考:新建築1993年5月号
【基本情報】
BASE(OSADA ELECTRIC FACTORY)
設計:アーキテクトファイブ/川村純一 堀越英嗣 松岡拓公雄
施工:鹿島
敷地面積:14,336.81㎡
建築面積:2,709.84㎡
延床面積:4,200.45㎡
階数:地下1階/地上5階
構造:鉄筋コンクリート造 一部鉄骨造
工期:1991年6月~1992年5月
名古屋工場の立地(場を生かすこと)
オサダの名古屋工場は、新幹線に沿ったスピード感のある一面と、大きな池と桜並木の静かな印象の街園に挟まれた、独特の立地に位置しています。
施主・長田康司のおもい
工場の建設に当たり、施主である長田康司(当時の社長)の希望はふたつ。
ひとつは、「家族のように大切な社員たちが、清潔に気持ちよく働ける空間と環境」です。
油の匂いのする、暗く閉鎖的な工場ではなく、社員が毎日通うことが嬉しくなるような、明るく開放的な空間を目指しました。
もうひとつの希望は、それまで大きく取りつけられていた看板を外すこと。看板で社名をアピールするのではなく、建築そのもので工場の存在や未来を語れるよう、計画を立てました。
工場内外の人々に寄り添う名古屋工場
工場の立地を生かし、工場内外で働く人びとの生活環境と、周辺の状況や地域の景観などを考え合わせ、オサダの名古屋工場は建設されました。
新幹線側は遮音・断熱された円弧状のアルミカーテンウォールを採用しています。
静かな桜と池のある側にはエレベーターやトイレなど、設備系統をシステム化したコアを配列し、その間にリフレッシュスペースを設けています。
また、25mのスパンを確保するのに用いたRODを使用した構造は、工場内を明るく軽快に見せる上で大切な役割を果たしています。
第1工場の展望台と第2工場の屋根はレンズ状の形態で対になり軽々と浮かび上がっています。
場を生かし、大地に根づいていくことを期待してこの計画をBASEと名づけました。
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画像は、【新建築】掲載当時(1993年)のものを使用しています。
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